実験系としてのウニ胚の特徴

ウニ1 ウニ2

ウニ胚は、発生をつかさどる遺伝子ネットワーク解析のための実験動物として多くの優れた特徴をもつ。

(1) 細胞系譜が詳細に調べられている

(2) 大量の卵と精子が得られる

採卵

(3) 簡単に受精でき、卵割や胚発生の同調性がよい

(4) 転写因子等の形態形成にかかわるタンパク質を精製できるほどの大量の同調胚が得られる

ウニ卵を回収 大容量カルチャー

(5) パーティクルガン法により大量(約10万個)の受精卵に遺伝子導入できる

Particle Gun

(6) 導入した遺伝子は染色体DNAに組み込まれる

(7) シスエレメント解析が容易

(8) 転写因子遺伝子とリポーター融合遺伝子との共導入によるトランスアクチベーションにより、転写因子とシスエレメントのin vivo解析が容易

(9) ゲノムプロジェクトが進められており、全ゲノムの解読がほぼ完了している

(10) 特定遺伝子のmRNAを受精卵に顕微注入するすることによる細胞運命の転換、変異を導入したmRNAによるドミナントネガティブや、モルフォリノアンチセンスオリゴによる遺伝子ノックダウンが可能

(11) 発生に伴う細胞の分化は、卵に不均一に蓄積されている母系タンパク質やmRNAが担うと考えられているが、不明の点が多い。ウニの16細胞期胚の動物極に中割球、赤道面から植物極側に大割球、植物極に小割球と、動植物軸に沿って割球の大きさが異なるため、動植物軸に沿って機械的に細胞を分取できる。これをプロテオーム解析することにより、動植物軸に沿って局在する、または濃度勾配を形成する母系タンパク質を同定、分取することができる

(12) 胚操作が比較的容易