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(last updated, April 2, 2014) |
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これまでの研究内容 |
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1)精子の活性化及び走化性の分子機構 |
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2)受精時に見られる卵内Ca2+上昇のメカニズムと役割
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3)哺乳類精子の受精能獲得及び先体反応の分子機構 |
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ヒトを含む哺乳類では、精子はメス体内の腟や子宮を通過して卵管に進入し、卵管内で待っている卵へたどり着いてやっと受精する。一般的に哺乳類精子は射精された直後は卵子へ侵入することができない。しかし雌の生殖道内を通過することによって精子は先体反応を誘起し卵子へと侵入可能となる。この現象は精子の受精能獲得(capacitation)と呼ばれており、さらに精漿には精子の受精能獲得を抑制する因子(受精能抑制因子)が存在することが知られている。そして、副生殖腺である前立腺、精嚢由来分泌物質や、精巣上体由来の受精能抑制因子の幾つかの候補が示されている。しかし、メス生殖器内での精子の受精能を調節する機構は不明であった。我々は、マウス精嚢から分泌される精漿タンパク質Seminal Vesicle Secretion 2 (SVS2)がin vivoにおいて受精能抑制因子として働くことを明らかにし、さらにSVS2の精子側受容体がガングリオシドGM1であることを明らかにした(図8)。 図8.マウス精子受精能獲得におけるSVS2及びGM1の役割
さらにSVS2を欠損したオスマウスを用いて、交尾後のメス生殖器内での精子の挙動を詳細に調べたところ、子宮には精子の受精能を高める働きはなく、逆に精子を殺して排除しようとする働きがあること、SVS2は精子の細胞膜を保護することで子宮の殺精子作用から精子を保護し、卵の待つ卵管へ精子を送り届ける作用があることを明らかにした。即ち、メスとオスによる精子への攻撃と防御のバランスが子宮内での競合的な精子選抜を引き起こし、これによって選ばれた精子が卵管で待つ卵と受精可能となる仕組みがあると考えられ、この結果は子宮と精漿の役割に関するこれまでの知見を覆すものである。 詳しくは,プレスリリースを参照してください。
一方,多くの動物の精子では、受精直前に頭部先端にある先体が開口放出様の反応を起こす(先体反応)ことで卵との結合を可能としている。近年この先体反応にはIP3受容体及びstore-operated Ca2+ channelを介した細胞内Ca2+上昇が必須であることが報告されている。そこでIP3産生酵素であるphospholipase Cd4(PLCd4)の欠損マウスが雄を主因とする受精障害を起こすことに着目し、PLCd4欠損マウス精子の先体反応及び細胞内Ca2+の動態を詳細に検討した。その結果、先体反応にはPLCd4を介して細胞内Ca2+上昇を持続的に維持し、先体反応を引き起こすことを明らかとした(図9)。 |
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図9.受精の際のカルシウム変化 |
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