日時:2017年10月19日(木) 16時30分~
場所:東京大学大学院理学系研究科・附属臨海実験所・会議室
講演者:別所-上原 学 博士(中部大学応用生物学部・博士研究員)
別所-上原 奏子 博士(名古屋大学生物機能開発利用研究センター・研究員)
懇親会: 18時から臨海実験所・宿泊棟1階・食堂にて
世話人: 小口晃平(三崎臨海・三浦研・D1)
生物発光は約700属で報告されており、植物を除きほとんどすべての分類群で独立に進化してきた。その大部分は海洋で見られ、特に脊椎動物の魚類において多くの種が知られている。しかしながら、多くの種が深海性であるためサンプル供給の難しさから、魚類における発光の生化学的・分子生物学的な研究はほとんどなされていない。生物発光反応は一般に、酵素ルシフェラーゼと基質ルシフェリンを必要とするが、独立に進化しているため、遺伝子配列の相同性をベースとした同定が困難であり、魚類のルシフェラーゼについては報告がなかった。本セミナーでは、まず海洋発光生物とその研究手法について紹介し、続いて魚類における初のルシフェラーゼの単離の報告およびその進化について議論する。
イネの種子先端に形成される突起状の構造物は芒(のぎ)と呼ばれ、毛皮への付着による種子の伝播、鳥獣からの食害防除の役割を担う。野生イネは有芒なのに対して栽培イネは無芒であり、芒は栽培化の過程で除去された形質と考えられている。その原因遺伝子を同定することでイネ栽培化における分子進化について議論できると考えた。本発表では、アジアのイネにおいて芒消失の原因となったRegulator of Awn Elongation 1およびRAE2についての機能解析の結果、また、アジアとは独立に栽培化されたアフリカイネにおける原因遺伝子同定の取り組みについてお話する。また、同じく栽培化をたどったオオムギやコムギは芒を持つのに対し、なぜイネは芒を失ったのかについても考察を行う。