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第 299 回 三崎談話会

下記の通り、第299回 三崎談話会を開催いたします。今回は、京都大学フィールド科学教育研究センター瀬戸臨海実験所の後藤龍太郎さんをお招きしてご講演頂きます。後藤さんらのご研究は、オトヒメゴカイの一種が闘争のために発音をすることを世界で初めて示したことで最近ニュースにも取り上げられました。ご興味のあるかたは是非ご参加下さい。談話会・懇親会の申込は、三浦(miu_at_mmbs.s.u-tokyo.ac.jp)または宇田川(世話人 udagawa_at_mmbs.s.u-tokyo.ac.jp)まで。

日時:2019年12月4日(水)16時30分~

場所:東京大学大学院理学系研究科・附属臨海実験所・セミナー室

講演者:後藤龍太郎(京都大学フィールド科学教育研究センター瀬戸臨海実験所・助教)

懇親会: 18時30分〜 場所未定 

後藤龍太郎(京都大学フィールド科学教育研究センター瀬戸臨海実験所・助教)
「キムラハナカゴオトヒメゴカイ(環形動物門:オトヒメゴカイ科)の種内闘争の際の発音とそのメカニズム」

 鯨類をはじめとする海生哺乳類、多くの魚類、甲殻類や昆虫類などの節足動物では、水中で発音行動を示す様々な種が知られている。一方、環形動物は海洋を中心に著しく多様化を遂げた分類群の一つで、多種多様な生態や生活様式の種を含むが、大きな発音が可能な種は知られてこなかった。今回、発表者らは、環形動物の1種キムラハナカゴオトヒメゴカイLeocratides kimuraorumが口を使って争う特異な種内闘争(マウスファイティング)の際に、口吻で相手を弾き飛ばす高速攻撃(マウスアタック)とともに単発の大きな音を出すことを発見した。この音の水中音圧レベルは最大で、157 dB re 1 µPa @ 1 mにも及び、周波数は6.9kHz付近をピークとして、90 kHz以上まで幅広い値を示した。本発見は、体の大部分が柔らかな構造からなる無脊椎動物であっても瞬間的に大きな水中音を出せることを示した点で新規性が高いと言える。本発表では、その発音行動の発見の経緯や発せられる音の特徴について紹介するとともに、マウスアタックの際に急速に膨らむ咽頭の形態変化とその筋構造から推察された音の生成メカニズムについて紹介する。また、自己紹介を兼ねて発表者の行ってきた共生二枚貝類の研究についても簡単に紹介する予定である。