第 301 回 三崎談話会

長らくコロナで開催を中止していた「三崎談話会」を再開することとなりましたので、ご連絡いたします。今回は対面とオンラインのハイブリッドでの開催を予定しております。

参加ご希望の方は、下記のGoogleフォームでご回答下さい。zoom URL等の情報が返信されます。

皆様のご参加をお待ちしております。

【第301回 三崎談話会】

日時:2022年7月25日(月) 17:00〜

場所:東京大学三崎臨海実験所 教育棟講義室

(zoomでもセミナーの模様を配信致します。)

参加申込:https://forms.gle/f1NMQiKUj2qvufeS6

「タテジマイソギンチャクの胃の分節構造に現れる相称性の種内多型」

Safiye E. SARPER / サフィエ エ. サルペル

(理化学研究所、生命機能科学研究センター、形態進化研究チーム・JSPS学振PD特別研究員 / 大阪大学理学研究科・招へい研究員)

相称性は器官の配置に現れる、動物門の形態的特徴を定義する最も基本的な形質のひとつである。後生動物を中心に大多数の動物種は一つの対称軸を持つ左右相称性を示す。一方、刺胞動物門では、左右相称の種と共に(一つ以上の対称軸を持つ)放射相称性を示す種が混在している。左右相称と放射相称の動物が持つ体の構造の違いがどのように生み出されるかは不明にとどまっている。刺胞動物の相称性は体外の器官より、体内の器官(胃袋、筋肉)配置によって評価される。タテジマイソギンチャク(Diadumene
lineata)の体内の器官配置を解析した結果、左右相称の個体と放射相称の個体が混在する(相称性の種内多型)ことを発見した。さらに、イソギンチャク特有の器官である「管溝」が、左右相称個体では一つ、放射相称個体では二つあることを見出した。採取した個体の形態的特徴を土台に体内器官の配置を再現する数理モデルを作り、異なる相称性を作る共通な機構を予測する事が出来た。また、器官配置プロセスの初期段階で個体が管溝を持っている場合放射相称、管溝を持っていない場合は左右相称の個体が出来る事が示された。以上の結果から、器官配置プロセスの初期段階での管溝の有無の違いによってタテジマイソギンチャクの体で現れる相称性のタイプが決まることを提案した。本発表では、タテジマイソギンチャクの種内多型に関する研究を紹介し、相称性の進化に関しての仮説を話す予定である。