東京大学 大学院理学系研究科 附属臨海実験所(通称:三崎臨海実験所)の概要

東京大学大学院理学系研究科附属臨海実験所(通称:三崎臨海実験所)は神奈川県三浦半島の西南端に位置し、眼前に相模湾の豊かな海が広がっています。世界的にも稀な豊かな生物相を有するこの地を動物学研究の拠点とするため、1886 年(明治19 年)に我が国発の臨海実験所として東京大学三崎臨海実験所は三崎町に設立されました。1897 年(明治30 年)には、より生物相の豊かな油壺に移転し、2016 年で創立130 周年を迎えました。三崎臨海実験所は、わが国における海産動物研究の発展に大いに貢献し、世界でも最も古いウッズホール(米)・ナポリ(伊)・ プリマス(英)の臨海実験所と共に生物学の歴史に大きな足跡を残しています。

1936 年(昭和11 年)に建設された旧本館は、長年研究教育の場として役割を果たしてきましたが、1993 年(平成7 年)に竣工した研究棟に、専任の教員・学生の研究の場は移りました。その後、旧本館は記念館と名称を変え、学生実習、外来研究者の研究、自然観察会など共同利用の場として活発に利用されてきましたが、2019 年(令和元年)に老朽化のため取り壊されました。2020 年には、学生実習室、展示室、水槽室などを備えた教育棟が新たに竣工しました。

国内外の研究者の利用は年間延べ約1 万人、学生実習等も加えると年間延べ約2 万人にもなり、研究と教育の場として現在も生物学の発展に貢献し続けています。

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5/11(土)展示室「海のショーケース」
一般公開のお知らせ

東京大学大学院理学系研究科附属臨海実験所では、展示室の一般公開を以下の日程で開催いたします。

日時 2024年5月11日(土)の10:00〜16:00(入室締め切り15:30)まで
場所

東京大学大学院理学系研究科附属臨海実験所

(神奈川県三浦市三崎町小網代1024)

教育棟の1階のエントランスホールと展示室

交通

アクセス

最寄り駅は京浜急行三崎口駅です。三崎口駅からは京急バス(三4系統)で終点の「油壺温泉」バス停までお越しください。油壺温泉バス停から三崎臨海実験所教育棟までは徒歩7分程です。

お車でお越しの場合、一般公開当日は、実験所内の駐車場を利用することはできません。周辺の有料駐車場をご利用いただくか、公共交通機関にてご来所下さい。皆様にはご不便をお掛けいたしますが、ご理解とご協力をいただきますよう、よろしくお願いいたします。

問い合わせ

メールアドレス

office@mmbs.s.u-tokyo.ac.jp

※電話でのお問合せは受け付けておりません。

ご来所いただく皆様へ

所内は禁煙です。

過密を避けるため、混雑時には入場を制限する場合がございます。

当日、所内でスタッフが記録した写真は、当実験所HPや実験所関連の資料に使用することがございます。あらかじめご了承下さい。

2024年度自然観察会のお知らせ

2024年度自然観察会 募集要項

日時 第1回:2024年5月25日(土)09:00~15:30
第2回:2024年7月7日(日)09:00~15:30
場所 東京大学大学院理学系研究科附属臨海実験所 教育棟実習室と周辺の海岸(磯)
〒238-0225 神奈川県三浦市三崎町小網代1024
内容 磯の動物の採集および観察と解説
(海に親しみ海に生息する生物の理解を深めることを目的とする)
時程 最干潮 第1回:5/25 11:42 (-4㎝)第2回:7/7 11:38 (4㎝)
09:00-09:30 集合・受付
09:30-10:00 ガイダンス
10:00-11:45 磯へ移動・観察・採集・実験所へ戻る
11:45-12:30 分類・片付け
12:30―13:15 昼休憩
13:15―14:45 同定・説明・観察
14:45-15:15 展示室・水槽室見学
15:15-15:30 質問・終了
講師 三浦  徹(東京大学・大学院理学系研究科・教授)
吉田  学(東京大学・大学院理学系研究科・准教授)
黒川 大輔(東京大学・大学院理学系研究科・助教)
参加費 1名につき100円
*参加費には傷害保険(レクレーション往復と上障害危険保証特約付き普通傷害保険)を含む
応募対象 小学生以上(但し、小・中学生は保護者同伴、高校生および高校生相当の方のみの場合は保護者の同意が必要。未就学児の同伴不可)
募集人数 最大25名(1グループにつき最大4名まで。応募者多数の場合は抽選)
応募フォーム

お申込みは、下記のグーグルフォームからご登録をお願いいたします。希望者が定員を超えた場合は抽選にて参加者を決定します。(先着順ではありません)https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdmB4hkhAgmorX-dnO720W3RANme_BsCpzcakYPv3yUpQxWEQ/viewform

応募締切 応募締切:2024年4月25日AM9時00分到着分まで
※参加の可否は締め切り後1週間以内にグーグルフォームへご登録いただいたメールアドレス宛に電子メールにて連絡いたします。
(参加可能となった方には登録フォームを添付いたします)
注意事項 注意事項:
1) 日程は、どちらかひとつにのみ、お申込みください。
2) 安全管理上、未就学のお子様を同伴しての参加はできません
3)当日の参加人数が不確定な場合、多い方の人数でお申込みください。(申し込み後に登録される人数を増やすことはできません)
4)ご友人とご一緒に参加したい場合は、代表の方がお申込みください。別々に申し込みされますと、抽選になった場合に個別の抽選対象となりますのでご注意ください。
5)参加者の安全を確保するため、荒天時(天候・波浪)はプログラムの変更(磯に出ないなど)もしくは中止となる場合があることをあらかじめご了承下さい。

プレスリリース:新種のヒトデ「サザレスナヒトデ」を発見―104年ぶり!いわきの海から新発見!―

2021年3月8日に実施された福島県水産海洋研究センター、調査指導船「いわき丸」のトロール調査にて採集された1個体のスナヒトデ属の未記載種が、当実験所学術専門職員の小林格博士、東京大学大学院理学系研究科の山本真正大学院生(研究当時)、国立科学博物館の藤田敏彦博士らとの共同研究によって新種として公表され、東京大学からプレスリリースされました。

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スナヒトデ属は、世界各地の熱帯~温帯の砂底に生息し、48種(国内6種)が知られています。スナヒトデ属では貝類などを捕食する獰猛な種が多く知られていますが、今回の新種の生態はわかっておらず、今後の研究が待たれます。スナヒトデ属の新種が日本から発見されるのは104年ぶりです。

図:いわき沖で採集された新種のヒトデ「サザレスナヒトデ」

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詳しくは下記のリンクをご覧ください。

プレスリリース

<理学部ウェブ>

日本語:https://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/press/10260/

英語:https://www.s.u-tokyo.ac.jp/en/press/10260/

<ふくしま海洋科学館ホームページ>

https://www.aquamarine.or.jp/new-animals/luidiaiwakiensis/

プレスリリース:体長1.6ミリの寄生巻貝の新種を発見!

広島修道大学の岡西政典助教、目黒寄生虫博物館の髙野剛史研究員、並びに当実験所の幸塚久典技術職員からなる研究グループによる研究成果が、東京大学からプレスリリースされました。

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研究グループの幸塚技術職員(棘皮動物ウミシダ類の専門家)は2010年に神奈川県相模湾の水深256-343 mにて底曳き網調査を行い、海洋生物の採集を行いました。その採集物に含まれていたクモヒトデ標本を岡西助教(棘皮動物クモヒトデ類の専門家)が観察したところ、これがOphiactis dyscrita(オフィアクチス・ディスクリータ)であり、その体表面に殻長1.6 mmの微小な巻貝が寄生していることを発見しました(図)。この標本を髙野研究員(軟体動物巻貝類の専門家)に送ったところ、これが希少な新種の貝類であることが判明しました。

オフィユーリマ属にはこれまで、化石種を除くと北大西洋海域、地中海、ニュージーランドから発見された2種しか報告がなされておらず、今回の新種は世界で3種目のオフィユーリマ属貝類となります。また、本属の発見自体も、北太平洋で初めての希少なものです。

本研究成果は、1)異なる生物の専門家のチームが協力して研究を進めたこと、2)クモヒトデの体の上という微小な環境にも焦点をあてて研究を行ったことの賜物といえます。

図:オフィユーリマ・ヨシハライの標本画像
1. オフィアクチス・ディスクリータに寄生する様子、2. 全体像、3. 殻上部の拡大画像。矢印は原殻とそれ以外の部分の境界を示す。スケールバー:(2) 0.5 mm; (3) 0.2 mm.

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詳しくは下記のリンクをご覧ください。

プレスリリース

<理学部ウェブ>

日本語:https://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/press/10236/

英語:https://www.s.u-tokyo.ac.jp/en/press/10236/

プレスリリース:環形動物ミドリシリスの特異な繁殖様式 ―ストロナイゼーションの発生過程と遺伝子発現―

当実験所の三浦教授らによる研究成果が、東京大学からプレスリリースされました。

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東京大学大学院理学系研究科の三浦教授らによる研究グループは、日本近海に広く分布する環形動物であるミドリシリスMegasyllis nipponicaでのストロナイゼーションの発生過程を形態学的および組織学的に観察し、詳細な発生ステージを定義しました。さらに発生ステージに従った発生制御に関わる遺伝子群の発現動態を明らかにしました。その結果、体軸の後半部分にもかかわらず頭部形成遺伝子の発現が上昇することが示されました。また、前後軸に沿って体節を決めるHox遺伝子群の発現も同様に変化することが予想されましたが、興味深いことに、Hox遺伝子群の発現パターンはこの過程で変化がないことが示されました。本研究により通常の発生過程がどのように修飾されることで、特異な繁殖様式を持つ動物の生活史が進化するのかということが示され、生物多様性を作り出すメカニズムの一端が明らかとなりました。

図:ミドリシリス。尾部に遊泳繁殖個体が発達している。

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詳しくは下記のリンクをご覧ください。

プレスリリース

<理学部ウェブ>

https://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/press/2023/

https://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/

<東京大学ウェブ>

https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/press/

 

2024年度教育関係共同利用公募のお知らせ

来年度の当実験所を利用した実習の公募を開始いたします。

来年度、当実験所の利用をご希望の学校・団体におかれましては、「公募要領」と「臨海実験所共同利用にあたっての注意点」を熟読の上、応募書類を期間内にご提出ください。

よろしくお願いいたします。

11/26(日)展示室「海のショーケース」
一般公開のお知らせ

東京大学大学院理学系研究科附属臨海実験所では、展示室の一般公開を以下の日程で開催いたします。

展示室画像

日時 2023年11月26日(日)の10:00〜16:00(入室締め切り15:30)まで
場所

東京大学大学院理学系研究科附属臨海実験所

(神奈川県三浦市三崎町小網代1024)

教育棟の1階のエントランスホールと展示室

交通

アクセス

最寄り駅は京浜急行三崎口駅です。三崎口駅からは京急バス(三4系統)で終点の「油壺温泉」バス停までお越しください。油壺温泉バス停から三崎臨海実験所教育棟までは徒歩7分程です。

お車でお越しの場合、一般公開当日は、実験所内の駐車場を利用することはできません。周辺の有料駐車場をご利用いただくか、公共交通機関にてご来所下さい。皆様にはご不便をお掛けいたしますが、ご理解とご協力をいただきますよう、よろしくお願いいたします。

問い合わせ

メールアドレス

office@mmbs.s.u-tokyo.ac.jp

※電話でのお問合せは受け付けておりません。

ご来所いただく皆様へ

所内は禁煙です。

過密を避けるため、混雑時には入場を制限する場合がございます。

当日、所内でスタッフが記録した写真は、当実験所HPや実験所関連の資料に使用することがございます。あらかじめご了承下さい。

ナショナルバイオリソースプロジェクト(NBRP)スタッフ募集

当実験所では、ナショナルバイオリソースプロジェクト(カタユウレイボヤ)の業務に関わるスタッフ(特任研究員もしくは学術専門職員)を募集いたします。
業務内容は、研究材料としてのカタユウレイボヤの飼育管理(屋内及び屋外)・提供業務、MTA管理、及び系統の作成・維持管理に関わる作業等です。

[募集人員] 1名

[着任時期] 2023年9月01日以降

[応募資格] 海産無脊椎動物の飼育管理に意欲的に取り組み、協調性を持って仕事ができる方。理系大学・短大もしくは専門学校卒で生命科学系の研究に素養のある方。 生物系の修士以上が望ましい。

業務上、小型船舶の運転が必要なため、小型船舶操縦免許が必要です。

[待  遇] 就業時間:裁量労働制(みなし労働1日7時間45分)を基本としますが、希望によって時間契約(短時間契約含む)も相談いたします。
休  日:日曜日、土曜日、祝日、年末年始(12/29~1/3)
給  与:基本給(年俸制)(特任研究員の場合)もしくは時間給(学術専門職員の場合) 大学の規定による(実務経験等により決定)
通勤手当 支給要件を満たしている場合、大学の規定に基づき支給
社会保険等:文部科学省共済組合、雇用保険、労災保険
     (法令の定めるところにより加入)

[募集期間] 2022年08月31日 まで
    ※適任者の採用が決まり次第、募集を締め切ります。

[応募方法(書類送付先も含む)] 履歴書(写真貼付)及び職務経歴書を下記宛てにe-mail、もしくは郵送してください。 
可能であれば、連絡先としてe-mail アドレスを記載してください。
 ※ 応募書類は原則として返却しません。

e-mail: yoshida@mmbs.s.u-tokyo.ac.jp
 ※ メール件名を「NBRPスタッフ応募書類」とすること。

郵送:〒238-0225 神奈川県三浦市三崎町小網代1024
   東京大学 大学院理学系附属臨海実験所 NBRP担当者 宛
 ※ 封筒に朱筆で「NBRPスタッフ応募書類」と明記のこと。
 
[選考内容(選考方法、採否の決定)、結果通知方法] 履歴書による書類選考の後、面接にて選考を行います。(原則的にe-mailにて連絡いたします)。

[連絡先]  准教授・吉田  学  
    電話:046-881-4105(代表)  
    e-mail:yoshida@mmbs.s.u-tokyo.ac.jp

第 303回 三崎談話会

第303回の「三崎談話会」の開催が決まりましたのでご連絡いたします。今回は対面とオンラインのハイブリッドでの開催を予定しております。参加ご希望の方は、下記のGoogleフォームでご回答下さい。zoom URL等の情報が返信されます。皆様のご参加をお待ちしております。

【第303回 三崎談話会】

日時:2023年6月20日(14:00〜

場所:東京大学三崎臨海実験所 教育棟講義室(zoomでもセミナーの模様を配信致します。)

参加申込:https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLScW5tYO-sLW-6Xe_UyPIOfR3u48rip7mGvUwgepghsOfEMIMA/viewform?usp=sf_link

 

昆虫類における性決定遺伝子の機能進化史から分子外適応のロジックを探る

千頭 康彦 (静岡大学理学部/日本学術振興会特別研究員PD

 生物進化の一側面には、既存の形質の新機能化があります。例えば、鳥類の翼を構成する骨や皮は、他の陸上脊椎動物の前肢のものと相同であり、祖先においては飛翔ではなく、歩行や物を掴むなどの機能を果たしていたと推定できます。このような既存形質の新機能化は「外適応」という用語で呼ばれます。この 20 年ほど、外適応に関する研究は、形態形質とそれに関わる発生遺伝学的メカニズムを中心に行なわれてきました。一方、形態形質以外の形質に関わる分子メカニズムや遺伝子の外適応は必ずしもよく分かっているわけではありません。

 形態形質以外の形質の外適応を考えるうえで好適なモデルに、動物の性決定があります。動物の性は単一起源とされる一方で、性決定の分子メカニズムは近縁動物群間でさえ異なります。すなわち、動物の性決定は分類群特異的な分子メカニズムの宝庫です。形態形質以外の形質における外適応の理解を目指し、発表者は性特異的スプライシングで制御されるという特徴をもつ昆虫類の性決定メカニズムに注目し、その進化史を研究してきました。本発表では、昆虫類の性決定を担う幾つかの遺伝子について、昆虫進化の早くに出現したシミ目に属すマダラシミ Thermobia domestica での機能と他昆虫種との比較から推定される進化史を紹介し、性決定遺伝子の外適応について議論します。