東京大学三崎臨海実験所概要

 

東京大学大学院理学系研究科附属臨海実験所(通称:三崎臨海実験所)は神奈川県三浦半島の西南端に位置し、半島の東側は東京湾、西側は相模湾に面しています。

世界的にも稀な豊かな生物相を有するこの地を動物学研究の拠点とするため、東京大学三崎臨海実験所は1886年(明治19年)に現在の三崎の町にわが国最初の、世界でも最も歴史の古い臨海実験所の一つとして設立されました。1897年(明治30年)に、より生物相の豊かな油壺に移転して現在に至っており、2016年には創立130周年を迎えました。設立以来、多数の国内外の研究者・学生に利用され、その数は年間延べ2万5千人にもなります。

わが国における生物学の発展に大いに貢献をしており、世界的にも、ウッズホール(米)・ナポリ(伊)・プリマス(英)の各実験所と共に海産動物研究の歴史に大きな足跡を残しています。

参加可能な三崎臨海実験所の活動

三崎臨海実験所での主だった活動を紹介致します。イベントの具体的なスケジュールは、下記の「トピックス」をご覧ください。
研究室への参加を希望される方は、上記「研究活動」から各研究室のページをご覧ください。

トピックス

三崎臨海実験所からのお知らせです。

プレスリリース:半世紀ぶりとなるモミジヒトデ科の新種発見

東京大学大学院理学系研究科附属臨海実験所と新江ノ島水族館、ふくしま海洋科学館、山口県水産研究センターのメンバーからなる共同研究グループは、北海道と静岡県の漁業者や、山口県漁業調査船かいせいによる桁網調査(注1)で混獲されたヒトデ類の分類学的な研究を行いました。

その結果、4種のモミジヒトデ科が認められ、新種のParagonaster 属(新称:ミヤビモミジヒトデ属)や、日本で初となるGephyreaster属(新称:ダイオウモミジヒトデ属)を報告しました。化石種を除くモミジヒトデ科の新種が発見されたのは51年ぶりの快挙となります。

本研究成果は、研究が十分に進んでいないモミジヒトデ科の種の正確な把握を行う重要な足掛かりとなるとともに、漁業者や水族館、大学などの研究機関が足並みを揃えて多様性研究に取り組むことの重要性を示しています。

新種のヒトデ「ホウエイミヤビモミジヒトデ」

—————

詳しくは下記のリンクをご覧ください。

プレスリリース

<理学部ウェブ>

日本語:https://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/press/10455/

英語:https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/en/press/z0508_00366.html

ナショナルバイオリソースプロジェクト スタッフ募集

当実験所では、ナショナルバイオリソースプロジェクト(カタユウレイボヤ)の業務に関わるスタッフ(特任研究員もしくは学術専門職員)を募集いたします。
業務内容は、研究材料としてのカタユウレイボヤの飼育管理(屋内及び屋外)・提供業務、MTA管理、及び系統の作成・維持管理に関わる作業等です。

 

[募集人員] 1名

[着任時期] 2024年10月1日(9月16日以降であれば応相談)

[応募資格]
  • 海産無脊椎動物の飼育管理に意欲的に取り組み、協調性を持って仕事ができる方。
  • 理系大学・短大もしくは専門学校卒で生命科学系の研究に素養のある方。 生物系の修士以上が望ましい。
  • 海産無脊椎動物の飼育に意欲的に取り組みめる方、生命科学系の研究に素養のある方、小型船舶操縦免許を持つ方を歓迎します。

 

[待  遇]
  • 就業時間:裁量労働制(みなし労働1日7時間45分)を基本としますが、希望によって時間契約(短時間契約含む)も相談いたします。
  • 休  日:日曜日、土曜日、祝日、年末年始(12/29~1/3)
  • 給  与:基本給(年俸制)(特任研究員の場合)もしくは時間給(学術専門職員の場合) 大学の規定による(実務経験等により決定)
  • 通勤手当 支給要件を満たしている場合、大学の規定に基づき支給
  • 社会保険等:文部科学省共済組合、雇用保険、労災保険(法令の定めるところにより加入)

 

[募集期間] 2024年08月31日 まで ※適任者の採用が決まり次第、募集を締め切ります。

[応募方法(書類送付先も含む)]  
履歴書(写真貼付)及び職務経歴書を下記宛てにe-mail、もしくは郵送してください。 可能であれば、連絡先としてe-mail アドレスを記載してください。JREC-IN Portalの「Web応募」機能からも応募頂けます。
※ 応募書類は原則として返却しません。

  • e-mail:  yoshida@mmbs.s.u-tokyo.ac.jp 
        ※メール件名を「NBRPスタッフ応募書類」とすること。
  • JREC-IN https://jrecin.jst.go.jp/seek/SeekJorDetail?id=D124071651 より応募
  • 郵送:〒238-0225 神奈川県三浦市三崎町小網代1024
       東京大学 大学院理学系附属臨海実験所 NBRP担当者 宛
       ※ 封筒に朱筆で「NBRPスタッフ応募書類」と明記のこと。

 

[選考内容(選考方法、採否の決定)、結果通知方法]  履歴書による書類選考の後、面接にて選考を行います。(原則的にe-mailにて連絡いたします。)

[連絡先]  准教授・吉田  学  
    電話:046-881-4105(代表)  
    e-mail:yoshida@mmbs.s.u-tokyo.ac.jp

第 305回 三崎談話会

第305回の「三崎談話会」の開催が決まりましたのでご連絡いたします。今回は対面とオンラインのハイブリッドでの開催を予定しております。参加ご希望の方は、下記のGoogleフォームでご回答下さい。zoom URL等の情報が返信されます。皆様のご参加をお待ちしております。

日時:2024年7月2日(火) 13:00〜

場所:東京大学三崎臨海実験所 教育棟講義室/zoomのハイブリッド開催

参加申込:https://forms.gle/B2Z7AiET1qLkqze46 【締切:前日(7/1)17:00】

 

動物は如何にして中枢神経系を獲得したのか?
 ―脳獲得前後の動物の解析からの考察と今後の展望―

中村 遼
(岡山大学理学部附属牛窓臨海実験所・助教)
坂本 竜哉
(岡山大学理学部附属牛窓臨海実験所・教授/所長)

 私たちヒトを含む左右相称動物は、脳に代表される発達した「中枢神経系(Central Nervous System (CNS))」を持つ。動物進化の初期に分岐した刺胞動物や有櫛動物は、体全体に網目上に分布した散在神経系を持つ。これがCNS獲得前の神経系と考えられるが、神経細胞(散在神経系)→CNS進化の初期進化プロセスはよくわかっていない。
 左右相称動物に最も近い姉妹群とされる刺胞動物の口(咽頭)側では、全身の散在神経系とは区別できる神経細胞の集合体が観察される。一方、CNS獲得後の原始左右相称動物ないし原始後口動物である珍無腸動物は、血管や循環器系を欠く一方で、体の前方に明確な集中化した脳構造をもつ。私たちは、刺胞動物の口側に発達した「咽頭神経系(Pharyngeal Nervous System, PhNS)」、珍無腸動物で見られる脳構造「原始脳」に着目し、これらの神経系の分子基盤と機能の解明に取り組んでいる。刺胞動物PhNSの発生と機能から、CNS獲得前から、脊椎動物CNSの視床下部神経で恒常性維持に働く遺伝子の発現と機能の一部が保存されていることがわかってきた。本セミナーでは刺胞動物PhNSの解析から明らかになってきたことを中心に、牛窓臨海実験所でのこれまでのプロジェクト等(余裕があれば坂本が紹介)も踏まえ、CNS化が何に関連して進化してきたのか?、CNS獲得前から保存された分子基盤は左右相称動物でのCNS化プロセスへどのように組み込まれていったか?についてざっくばらんに議論したい。

お問い合わせ:
三崎臨海実験所 博士課程 千代田 創真(世話人:schiyoda@g.ecc.u-tokyo.ac.jp)
三崎臨海実験所 教授 三浦 徹(miu@mmbs.s.u-tokyo.ac.jp)